「ファントム」やっと発売開始されたよ!どうも、だとばぐです。
イボルブの「Phantom(ファントム)」といえば、ポールロビンソンとダニエルウッズという世界最強ボルダラーの両者が開発に携わったということで、2018年の展示会での発表から多くのクライマーに注目されていました。
2019年には発売が開始されるかと思われていましたが延期に次ぐ延期。
そして2020年3月16日にようやく発表されました。
このクライミングシューズの発売を待ち望んでいたクライマーも多いはず!
正直このクライミングシューズを買うためになかなか積極的に他のシューズに手が出せない日々を送っていました(実際には手を出していたが)。
「Phantom(ファントム)」の圧倒的なスペック
「6ポイント・シングルプル・クロージャーシステム」や「ダークスパインS」といった「イボルブ」独自の新技術を惜しげもなく投入されている。
超攻撃的なダウントゥ
猛禽類の爪のような鋭いアーチを描いている攻撃的な爪先。
ちょっとした先端恐怖症の人だったら泣いちゃうかもしれないくらいの鋭さ。
最強のボルダラーであるポールロビンソンとダニエルウッズが開発に携わっただけあって、爪先のエッジング性能には一切の妥協は感じられない。
ダニエルウッズは自身のインスタグラムで「Phantom(ファントム)」の紹介をしているが、その中で「他のクライミングシューズは必要ない。すべてこのビーストでイケる」とかなんとか言っている。
ビースト!?かっけぇ〜〜〜〜〜〜〜!!!
ちなみにプロトタイプの段階ではスカルパ「キメラ」のようなカラーリングになっていた。
最終的に白黒のカラーリングを決めたダニエルのセンスは素晴らしい。
ダニエルウッズがイボルブチームに加入した当初、「アグロ」を履いていたときは「これからは赤黒の時代だ」なんて言っていたが、思えば一瞬だったなぁ。
アディダスファイブテンの新型ハイアングルのカラーリングもそうだが、クライミングシューズ業界のトレンドとして「白黒」の時代に突入しそうな気配すら感じる。
ダニエルウッズをして獣と言わしめる「Phantom(ファントム)」の獰猛さに加えて、フィンガーボードメーカーとして有名な「Beastmaker」でのトレーニングを組み合わせれば、簡単に指先と爪先をビーストにすることができそうだ。
2020年はこの獣を岩場やジムやコンペで見かけることが多くなりそう。
完全にレースアップの弱点を克服!
ベルクロージャーシステムも特徴的で、「6ポイント・シングルプル・クロージャーシステム」というシステムを採用しており、一度に6点を当時に締め上げることが可能。
このシステムのおかげでレースアップシューズの倍以上のスピードで素早く足にフィットさせることができる。
着脱することの多いボルダリングではこのベルクロージャーシステムははっきり言って最強だと思う。
クライミングシューズのフィット感といえば、数あるシューズタイプの中でもやはりレースアップシューズに軍配が上がると言われていた。
イボルブの「アグロ」では一度に3つの異なる方向から締め上げるというソリューションに近い特徴的なベルクロージャーシステムを採用していたが、「Phantom(ファントム)」は単純に倍の数で締め上げている。
キン肉マンの「ゆで理論」的に考察するなら、「アグロ」の2倍のポイントで締め上げたクライミングシューズが2足なので、「ファントム」では4倍のフィット感が得られると言っても過言ではない。
4倍のフィット感なんて想像もできないが、油断した瞬間に足がねじ切れちゃうとかそんな感じだろう。
ただそのねじれを「Phantom(ファントム)」は効率よく爪先に伝えることができる。
ベルクロの範囲が単純に「アグロ」よりも広くなっているため相対的にトゥラバーの範囲はやや狭くなっている。
そのため「アグロ」と比較するとややトゥフックは苦手としているかもしれない。
残念な点
超攻撃的なダウントゥの形状と片目のシャンクからも分かるようにスメアリングが難しい。
そのため面のフリクションでホールドをとらえるようなスラブなどは苦手としているだろう。
なんでベルクロを靴の内側につけた?
「Phantom(ファントム)」最大の残念ポイントとしてはこいつだろう。
マジでなぜベルクロ内側につけたよ。
クライミングシューズのセオリーじゃないのか。
内側はどうしても壁に擦れてしまいパーツが摩耗、劣化してしまう。
そのためにクライミングシューズのベルクロは外側につけるのが一般的だ。
考えられる理由とすれば、ベルクロにより最終的に内側に引っ張ることで、強い内側に対するねじれを産み出した買ったのかもしれない。ダニエルが登っているような強傾斜でのクライミングでは内側のベルクロが擦れるケースというものがほとんどなかったことも内側のベルクロを放置してしまったのか。
いずれにせよ、内側のベルクロというのは非常に残念なポイントである。
脱ぎ履きがすごく楽
6ポイント・シングルプル・クロージャーシステムのおかげで、シューズ自体の間口が広く確保されている。
そのおかげで激しいダウントゥやターンインの割に脱ぎ履きは思ったよりも楽。
気温や湿度や風など、その瞬間瞬間の最適なタイミングを掴むことが非常に重要なボルダリングにおいて着脱のストレスが非常に少ないことはかなり有利に働くだろう。
また足型も「アグロ」と比べてやや幅広になっている。
「アグロ」の足型が合わなくて諦めていたクライマーには是非「Phantom(ファントム)」を試してもらいたい。
販売価格
販売価格は、日本円で 24,200円(税込)を予定している。
笑えるくらい高ぇ!
だが安心して欲しい。
多くの海外アウトドア用品通販サイトでも「Phantom(ファントム)」を購入することができる。
この記事の執筆時点でも、イギリスのBananafingersでは、日本円でおよそ15000円程度で「Phantom(ファントム)」が販売されている。
送料を入れても18000円程度で購入することができるだろう。
「Phantom(ファントム)」買うべきか
個人的にはイボルブ「Phantom(ファントム)」、買いです。
幾度もの発売延期からも分かるように、完成度に関しては妥協は一切ないシューズになっています。
残念な点にあげた内側についたベルクロに関しても、これは一つの解答ではないかと思います。
今狙っている課題がどっかぶりでシビアな足置きを要求するものであるならば、イボルブ「Phantom(ファントム)」試してみる価値ありです。
発売日について
海外ではすでに多くの通販サイトで取り扱いが開始されている「Phantom(ファントム)」ですが、日本での取り扱いは4月中旬を予定しているそうです。
最後に
イボルブ「ファントム」を一言で評するなら、特化型の実験的ハイエンドシューズでしょうか。
使う人を選びそうではあるが、バチッとハマれば絶大な性能を発揮してくれること間違いなさそうなスペックを兼ね備えている。正体でガシガシと登るようなクライマーやダニエルウッズのような力強いクライミングスタイルに憧れる人にとっては最適な選択肢の一つになるだろう。
イボルブ「ファントム」の発売により、各クライミングシューズブランドから2020年に発売を予定していた注目度の高いクライミングシューズが出揃ったように思う。
個人的にはファイブテンの「新型ハイアングル」とこの「Phantom(ファントム)」の二強になるのではないかと予想している。
バランス重視でオールラウンドに使える「ハイアングル」か、特化型の超攻撃的な「Phantom(ファントム)」か、クライマーによって好みは別れそうではあるが、ビジュアルに関してはマジで「Phantom(ファントム)」圧勝でいいんじゃないでしょうか。
性能差についても、両シューズとも棲み分けは十分にできているので両方とも買って課題によって使い分けるというクライマーも出現するのではないだろうか。
マジで2020年発売される新作クライミングシューズの中ではイボルブ「ファントム」最推しです。